ビスポークシューズとは既製靴のように完成品を選ぶのではなく、多数の工程を経てお客様一人ひとりに合わせてゼロから靴を作り上げていくフルオーダーメイドシューズのことです。当アトリエでは、採寸から仮縫い、完成までの工程を通してフィッティングを調整し、ラストシェイプを整えていきます。
そのため、「本当に足に合うのか」「どこまで調整できるのか」「どのように進むのか」といった疑問を持たれる方も多くいらっしゃいます。ここでは、実際によくいただくご質問をもとに、フィッティング・仮縫い・デザイン・素材・ご注文などについて整理してご案内します。
初めての方へ
A.はい、もちろんご注文頂けます。
デザインについては、ご使用されるシーンや洋服のお好みなどをお聞きした上でご提案することも可能ですし、当アトリエの制作例などを参考にお選び頂くことも可能です。
またフィッティングに関しても、複数回の仮縫いを通してその都度確認しながら進めていくため、初めての方でも段階的に状態を把握しながら製作を進めることができます。
A.ビスポークシューズは、足の形状に合わせて一から設計・製作するフルオーダーメイドの靴です。
既製靴のようにサイズを選ぶのではなく、採寸によって足の状態を把握し、仮縫いでフィッティングを確認・調整しながら完成へと進めていきます。
完成時の状態を一度で決めるのではなく、工程の中で精度を高めていく点が大きな特徴です。
また、当アトリエでは全ての製作を自店工房内で行っていますので、高度な技術による美しい仕上がりも特長です。
A.まず大きな違いは、木型を「どこまで調整できるか」という点にあります。
既製靴はあらかじめ完成された形の中からサイズを選ぶもので、合わない場合はインソールや部分的なストレッチなど、完成後の調整に限られます。
そのため、足の特定の箇所への当たりを軽減することはできても、足全体のフィッティングを根本的に合わせることは難しくなります。
MTOは、ベースとなる木型を元に幅や仕様を変更できるものですが、基本となる木型は共通のため、調整は部分的な補正にとどまり、横幅を広げるなどの対応は可能ですが、足の形状や角度、全体の収まりまで最適化することは難しいです。
一方、ビスポークは採寸データや足の観察に基づき、足の形状だけでなく足を入れたときの踵から爪先までの角度や重心のかかり方といった、お客様一人ひとりの骨格や歩き方の特徴まで含めて設計を行います。その上で専用の木型を製作し、仮縫いを通してフィッティングを段階的に調整していきます。
そのため、特定の当たりを和らげるだけでなく、足全体が自然に収まる状態へと導くことができ、結果として快適性の質が大きく変わります。
また、作りに関しても量産品である既製靴に対して、職人による手作業が増える傾向のあるMTO、更により高度な職人の技術が求められるビスポークという風に、仕上がりの精密さにも三種それぞれ特性があります。
デザインにおいても同様に、一般的に既製靴→MTO→ビスポークシューズの順でデザインの自由度が高くなっていきます。
決められたものから選ぶのではなく、お好みのデザインを細かな打ち合わせを重ねながら決定していくのがビスポークの特徴です。パーフォレーションやステッチの追加なども細やかに対応可能です。
A.主な違いは、設計の目的にあります。
整形靴は、医療的な必要性に基づき、補正・保護・除圧・歩行補助を優先して設計されます。
痛みの軽減や歩行のサポートなど、機能面を最優先とした靴です。
一方、ビスポークシューズは個人の足に適合させることを前提としながら、フォルムの審美性と快適性の両立を目指して設計されます。フィッティングだけでなく、見た目のバランスや全体の印象も含めて仕上げていく点が特徴です。
どちらも足に合わせて製作する、整形靴とビスポークシューズではありますが、両者の目的と設計の考え方が大きく異なります。
A.
・小さいサイズや大きいサイズの足の方で、既製靴ではなかなか足に合う靴や好みのデザインが見つからない
・外反母趾、ハンマートゥ、くるぶし、小指などに当たりがある
・踵が抜ける
・左右でフィット感が違う
といった悩みがある方にご注文頂くことが多いです。
また、当アトリエのビスポークシューズならではの高度な技術を伴った美しい仕上がりを求めてご注文頂く方も多くいらっしゃいます。
A.木型および採寸データは、原則として10年間保管しています。
過去に作成した木型をもとに、別デザインの靴を製作することも可能です。
同じ木型を使用することで、初回に調整したフィッティングをベースにした再注文が行えます。
ただし、デザインによっては新たに木型を製作する場合もあります。
例えば、
・木型設計の考え方が大きく異なる場合 (オックスフォードなどの紐靴と、ローファーやブーツなどは木型設計の考え方が異なります)
・トゥの形状が変わる場合
などは、既存の木型では対応が難しいため、新規での設計をおすすめしております。
A.靴の木型は履いたときの足の収まりや動きを前提になるため、静止した状態の足形を再設計する必要があります。
靴を製作するための木型では、足のアーチの安定、前後方向のバランスや荷重のかかり方、着用時に必要な圧なども考慮するため、足形そのものの形と木型に必要な形状は一致しません。
そのため、採寸や足形の情報をもとにしながら、靴として成立する形に再設計したうえで木型を製作します。
フィッティングについて
A.あります。
採寸や仮縫いを重ねて製作した場合でも、納品後に違和感が残ることがあります。
その場合は納品後でも可能な限り調整対応をさせて頂いております。
ただし、靴の構造上、大きく形を変えることができない部分もあり、すべての違和感を解消できるとは限りません。
そのため状態を確認しながら、対応可能な範囲で調整を行っていきます。
A.ビスポークシューズメーカーの中には、「2足目、3足目で完成形になる」とされることもありますが、当工房では一足目からご納得いただけるフィッティングを目指して製作を進めています。
ただし、「完璧」という基準には個人差があり、感じ方も大きく異なるため、断言することはできません。
A.問題ありません。
実際には多くの方に左右差があり、完全に同じ形の足はほとんどありません。
仮縫いでは左右それぞれの当たり方や圧の違いを確認し、それぞれに合わせた調整を行います。
A.左右でフィット感が異なるのは特別なことではありません。
骨格や筋肉の付き方、利き足、歩き方の癖などによって、同じサイズでも感じ方に差が出ます。
ビスポークでは片足ずつ状態を確認しながら調整を行い、違和感の少ないバランスに整えていきます。
仮縫いについて
A.仮縫いは、ご納品用の靴を製作する前にトライアル専用の靴を作成し、それを着用して頂いてフィッティングを確認・調整する工程です。
小指やくるぶし等の当たり・革のテンション・踵の収まりや抜けにくさ・歩行時の違和感などを確認し、その場で修正内容を判断します。
当アトリエでは基本的に二度仮縫いを実施しています。一度目が透明樹脂による仮縫い、二度目は革製仮縫いを用いて確認を行います。
フィッティングにおいては透明樹脂仮縫いでは靴の内部の様子を目視して確認し、革製の仮縫いの場合は静止状態だけでなく、動いたときの感覚まで確認を行います。デザインにおいては、透明樹脂の段階では全体のフォルムやトゥシェイプについて、革製仮縫いではより細かくデザインラインなどの打ち合わせを行います。
A.フィッティングに関しては主に以下の点を確認します。
・前足部にかかる圧
・甲のフィット
・踵の収まり
・歩行時の違和感
・骨やアーチなどに当たりのある箇所
また、履きジワの出方や足の動きに対する追従性、その他必要に応じて足の状態をみながら様々な点を確認し、調整を行います。
デザインに関しては
・木型のトゥの形状
・デザインラインの細かな修正(革製仮縫いの際)
などお客様との会話を通して、よりお客様のイメージに合った靴製作を目指しています。
A.フィッティング面では前足部の幅や甲にかかる圧、踵のホールドなど、フィッティングに関わる大部分が調整可能です。また、デザインにおいても着用時の機能性を維持出来る範囲内であれば、ご希望に合わせて修正が可能です。
フィッティングについては、仮縫いの際には、各ポイントを目視や触れて確認することによって圧のかかり方を確認しつつ、お客様ご自身の履き心地についてもヒアリングを行います。
調整が必要と判断した箇所については数値として記録し、一度持ち帰ったうえで木型やパターンに反映させ、次回の仮縫いまたは完成前の工程で修正を行います。
デザインについてはトップライン・モカ縫いのライン・ウィングチップ・羽根・カウンターなど、様々な点においてお客様のお好みをお聞きしながら、より良いバランスをご提案させて頂きます。
A.通常は2回ですが、状態に応じて3回目を行う場合があります。重要なのは回数ではなく、違和感を残さないことだと考えています。
仮縫いの順番としては、基本的に一度目の仮縫いは透明樹脂製の仮縫い靴を用い、二度目の仮縫いでは革製の仮縫い靴を使用します。
透明樹脂製仮縫いでは靴内部で足のどのポイントに強く圧がかかっているか、逆にどのポイントが触れていないかといったフィッティングのポイントと、木型のバランスを確認します。
革製仮縫いでは一度目の仮縫いを踏まえた修正を行った上で、より深いデザインの打ち合わせと歩行時のフィッティング確認を行います。
よくあるフィッティングの悩み
A.可能です。
既製靴では木型と足の角度や幅が合わず小指が当たってしまうことがよくあります。
ビスポークシューズでは採寸データを元に、お客様一人ひとりの爪先から踵の角度に適した木型を製作することが可能です。
また、前足部の幅や厚みなどを調整し、圧のかかり方を修正します。
更に歩行時の荷重によっても当たり方が変わる場合もあるため、仮縫いで確認しながら適切に調整していきます。
A.可能です。
スリッポンは紐靴と比べてトップラインが浅く、足が前に滑りやすいため、踵が抜けやすい構造になっています。
また、スリッポンは紐で調整することができないため、甲の押さえと踵のホールドを中心にフィッティングを成立させる必要があります。
既製靴では足と靴の接触が点になりやすく、十分なホールドを得ることが難しいケースもありますが、ビスポークでは足全体の形状に合わせて設計を行うため、面で支えるフィッティングが可能になります。
その結果、足の前滑りを抑え、踵が抜けにくい状態へと調整していきます。
A.既製靴で甲がきつく感じる場合は骨格的に甲が高い傾向があり、逆に緩く感じる場合は甲が低い傾向があると考えられます。
当アトリエのビスポークシューズ製作では採寸時に得た数値上のデータを元に木型を設計しますので、お客様ご自身の甲の高さに合わせた木型を製作できます。
お客様の足に適した木型やパターンを用いることで快適な履き心地が得られます。
A.扁平足でもフィットさせることは可能です。
扁平足の場合、甲の高さが低くなる傾向があり、既製靴ではフィットが難しくなることがあります。
当アトリエのビスポークでは、木型甲のボリュームや土踏まずの形状を個別に設計し、無理なく足に沿う状態へ近づけていきます。
また、歩行時の安定性も含めて確認しながら調整を行います。
A.履きジワが左右で異なることは珍しいことではなく、極端に左右でシワの深さが異なる場合等を除いて大きな問題では無いと考えています。
そもそもどの人の足でも左右正対象ということはなく、左右の足には形や可動域、歩行時の体重のかけ方によって差があるためです。
ただし、シワの位置や入り方に極端な偏りがある場合は、アッパーが親指に噛んでしまい痛みの原因になるなど、その後の快適性を損なう可能性もありますのでフィッティングの調整が必要になることもあります。そういった場合は仮縫いの時点で原因を追求し、次回の仮縫いまたは納品時に修正を行った上でご納品靴を製作します。
デザインについて
A.デザインの決定に悩んでおられるお客様に対しても、ご使用になるシーンや洋服のお好みなどを詳しくお聞きしながら、デザインのご提案をしますのでご安心ください。
A.内羽根(オックスフォード)・外羽根(ダービー)・スリッポン・チャッカブーツなど、基本的なデザインを含め自由にお選びいただけます。また、穴飾りやモカのステッチなどもお好みにあわせてご指定頂けます。
当アトリエではお客様からのご要望を反映しながら靴単体での見た目と、履いた時の美しさやバランスの良さを考慮して設計していきます。
A.参考にすることは可能ですが、お客様一人ひとりの足に合わせて製作するため、見本靴をそのまま完全に再現することはできません。
ビスポークでは足型に合わせて設計を行うため、同じようなアッパーデザインで製作した場合でも、バランスやラインは見本靴とは異なる仕上がりになります。
A.可能です。
ただし、初めてのご注文の場合は、紐靴(内羽根または外羽根)を推奨しています。
ローファーやスリッポンは紐による調整ができないためフィッティングの許容範囲が狭く、設計の精度がよりシビアになりますが、当アトリエでは、複数回の仮縫いや透明樹脂を用いた仮縫いなどによりフィッティングの確認精度を高めているため、一足目からのご注文も可能としています。
ただし、紐靴で一度フィッティングの基準を共有した上で、二足目としてローファーをご注文いただく方が、より高い精度での仕上がりにつながります。
特にローファーは、踵の収まりと甲のフィットのバランスが重要になるため、その点を重点的に確認・調整していきます。
A.当アトリエでは、履き心地と見た目の両方を両立させる設計を行っていますが、仮にフィット感だけを優先して設計を行ってしまうと、全体のバランスが崩れてしまうことがあります。
特に日本人の足は前足部に対して踵が小さい傾向があるため、その影響が出やすい部分でもあります。
そのため、数ミリ単位で比率を調整しながら、フィットと見た目のバランスを整えていきます。
A.お選びいただけます。
ラウンドやチゼル、セミスクエアなどの基本的なトゥシェイプの中からお選びいただけますが、足の形状やサイズとのバランスによって捨て寸(靴の爪先部分の足が入っていない空間)等は大きく変わります。
当アトリエでは、足幅と足長のバランスや足指の長さ、体格などを踏まえ、それぞれのお客様に適したトゥシェイプをご提案しています。
初回の打ち合わせで基本的なトゥシェイプを決定したうえで、仮縫い時には実際の履き姿や歩行のしやすさも確認しながら、ヒアリングを重ねて微調整していきます。
素材・製法について
A.用途やデザイン、ご希望の仕上がりに応じてご提案します。
同じカーフでも仕上げやタンナーによって質感や経年変化は大きく異なるため、実物を見ながら選んでいただく形になります。
世界各地から収集した豊富な革の中から、お好みの革をお選び頂けます。
A.変わります。
柔らかい革は足なじみが早く、硬めの革は形をしっかり保つ傾向があります。
用途や履き心地のお好みに応じて適した素材をご提案しています。
A.比較的水に強い革はありますが、完全防水ではありません。
型押し革やオイルを含んだ革は水に強い傾向がありますが、いずれの場合も防水対応を望まれる場合は防水スプレーをこまめに噴霧するなど適切なケアが必要です。
A.お選びいただけます。
クロコダイル、リザード、シャーク、オーストリッチなど、豊富な革のラインナップからお選び頂けますので、ご相談下さい。
A.革の種類や仕上げによって異なります。
スムースレザーは艶が増し、起毛素材は風合いが変化していきます。
履き方や手入れによっても変わるため、その点も含めてご注文時やご納品時にご案内しています。ご要望があれば、日常的なケアの方法もお伝えしています。
A.当アトリエの靴の基本的な製法はハンドソーンウェルテッド製法の革底になりますが、ご希望があればVibram製のコマンドソールや、ダイナイトソール、または軽量なEVAなどもお選び頂けます。
A.基本的な製法はハンドソーンウェルテッドです。
既製靴に多く用いられるグッドイヤー製法やマッケイ製法よりも厚い中底を手作業で加工し、その中底とアッパー・ウェルトを職人の手で縫い付ける製法です。
ハンドソーンウェルテッド製法では中材のコルクを薄く設計出来るため、長期使用しても中底が沈み込みにくいのが特長です。加えて、中底の堅牢性により繰り返しオールソールに耐えうる耐久性を持ちます。
また、当アトリエの独自の製法では、更に返りの良さも追求しています。
当アトリエのビスポークシューズではハンドソーンウェルテッド製法の他に、ノルベジェーゼ製法のご注文も受け付けております。
各素材を使った実例はGalleryでご覧いただけます。
ご注文・お支払い・来店・修理等について
A.ご来店回数は基本的に4回となります。
① ご注文・採寸・ヒアリング
② 一度目の仮縫い(透明樹脂製の仮縫い靴を使用)
③ 二度目の仮縫い(革製の仮縫い靴を使用)
④ ご納品
各工程はおおよそ3〜4ヶ月ごとに進み、納期は約1年〜1年半となります。
なお、遠方にお住まいなどで複数回のご来店が難しい場合には、一度目と二度目の仮縫いを同時に行うなど、状況に応じて対応することも可能です。また、配送でのご納品も可能です。
A.約1年〜1年半程度となります。
採寸・仮縫い・調整といった工程を複数回に分けて進めるため、各工程の間に一定の期間を設けています。
その中でフィッティングの確認と修正を重ねながら完成まで精度を高めていきます。
A.主にお選びいただく素材によって価格が変動するほか、ビンテージスチールの取り付けなど、仕様の追加によって別途料金が発生します。
詳細については、ご注文時に内容をご確認いただきながらご案内いたします。
A.以下のお支払い方法に対応しています。
・銀行振込
・クレジットカード(VISA/Mastercard/JCB/American Express)
・PayPal
また、日本国内にお住まいで京都市外にお住まいの方は、ふるさと納税のご利用も可能です。
ふるさと納税をご希望の場合は、「ふるさとチョイス」「ふるナビ」「楽天ふるさと納税」「さとふる」などの各サイトにて、検索欄に「Yuki Shirahama Bottier」と入力してご確認ください。
A.ビスポークシューズは職人による精密な採寸が必要となるため、基本的には直接お会いしてのご注文を前提としています。
京都の当アトリエへのご来店が難しい場合には、年に数回開催している東京・福岡でのパーソナルオーダーイベントでもご注文いただけます。
イベントの開催情報はホームページ内でご案内していますので、ご来店が難しい場合はそちらへのご参加もご検討ください。
A.可能です。
京都の当アトリエへのご来店が難しい場合には、年に数回開催している東京・福岡でのパーソナルオーダーイベントでもご注文いただけます。
イベントの開催情報はホームページ内でご案内していますので、ご都合に合わせてご検討ください。
A.可能です。
オールソール交換をはじめ、ヒール交換やビンテージスチールの取り付けなど、各種修理に対応しています。
状態を確認のうえ、適切な方法で修理を行います。
ご予約・ご相談については、CONTACTよりお気軽にお問い合わせ下さい。
