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記事: TALK ABOUT LOAFERS − Shoes for the free-spirited man −

COLUMN

TALK ABOUT LOAFERS − Shoes for the free-spirited man −

TALK ABOUT LOAFERS -Shoes for the free-spirited man-

靴の定番デザインについて詳しくご紹介するコラムシリーズ。今回はローファーについてご紹介いたします。
気軽に脱ぎ履きできるスリッポン型の革靴として、現在ではビジネスからカジュアルまで幅広いスタイルで愛されているローファー。ペニーローファーやタッセルローファー、ビットローファーなど、さまざまなデザインが存在し、紐靴とはまた異なる魅力を持っています。
実はローファーは、特定の国や人物によって生み出されたものではなく、ノルウェー・イギリス・アメリカなど複数の国で発展してきたデザインです。
今回も当アトリエの職人・白濵と村吉のトークを交えながら、ローファーの歴史やデザインについてお届けいたします。





【ローファーの基本】

ローファーは、靴紐やバックルなどで足を固定する必要のないスリッポン型の革靴です。
甲の部分にモカステッチやストラップ、タッセル、金属装飾などを施したものがあり、デザインによってペニーローファー、タッセルローファー、ビットローファーなどに分類されます。
英語の「Loafer」は、もともと「怠け者」や「ぶらぶらしている人」を意味する言葉です。靴の名称として使われるようになった経緯については諸説ありますが、気軽に履ける靴という性格にも通じる名称です。




【ローファーの歴史】

村吉 「今回はローファーについてお話ししていきます。ローファーといえば、現在ではとても身近な革靴ですが、実は複数の国の文化が関係しているそうですね。」

白濵 「本当にその通りで、ローファーの歴史を辿ろうとすると幾つものルーツがあることが分かるよ。例えば、ローファーの歴史を辿るうえで、まず登場するのがノルウェー西部のAurland(オーランド)で作られていた革靴なんだ。現在のローファーにつながる靴の一つとして知られているよ。」

村吉 「Aurland Shoe(オーランドシュー)ですね。どのように生まれた靴なのでしょうか?」

白濵 「靴職人Nils Tverangerが、北米先住民のモカシンと、ノルウェーの漁民が作っていた伝統的な靴から着想を得て、Aurlandの靴を発展させたとされているんだ。(※1)
初期のモデルは靴紐とアイレットを備えたものだったけど、その後モカシンの特徴を取り入れた、現在のAurland shoeにつながる形へと発展していったんだ。」

村吉 「最初から現在のようなスリッポン型だったわけではないんですね。モカシンの文化とノルウェーの伝統的な靴が組み合わさって生まれたというのが興味深いですね。」

白濵 「そこが面白いよね。モカシンは柔らかい革を足の形に沿って縫い合わせる構造を持つ靴で、独特の履き心地がある。そうした靴の文化が、北欧の靴作りにも影響を与えていたんだね。」

村吉 「オーランドとほぼ同時期、イギリスでもローファーにつながる靴が作られたそうですね。」

白濵 「イギリスの靴メーカーWildsmithの話になるね。1926年にRaymond Lewis Wildsmithが後のジョージ6世であるヨーク公がカントリーハウスでくつろぐ際に履くための、快適でカジュアルな靴をデザインしたとされているんだ。(※2)
こうした靴も、現在のローファーにつながる歴史の一部として知られているんだよ。」

村吉 「室内でくつろぐための靴という発想から生まれた靴が、現在のように外出用の革靴としても広まっていったのは興味深いですね。」

白濵 「そうだね。そしてローファーをアメリカで広く普及させたブランドの一つがG.H.BASS社なんだ。
G.H.BASSが1936年に発表した『ウィージャンズ』は今のペニーローファーと同じ形なんだけど、『ノルウェー=ノルウィージャン』が訛って名付けられたものだと言われているよ。(※3)
こうしたノルウェー型の靴がまず最初に人気を獲得したのはロンドンで、このロンドンでアメリカ人旅行者が見つけたものが広まって、間もなくアメリカでも履かれるようになったらしい。(※4)」

村吉 「ウィージャンズは現在でもよく見かけるペニーローファーですね!甲の部分には革のベルトが配されていて、中央に特徴的な切れ込みもありますね。
この切れ込みにペニー硬貨を挟んでいたことから、ペニーローファーと呼ばれるようになったんですよね。」

白濵 「アメリカの学生たちが硬貨を挟んでいたという話が、ペニーローファーの名前の由来として知られているよね。幸運のお守りだったという説や、公衆電話をかけるための1セント硬貨を持ち歩いていたという説もあるけれど、由来については諸説あるんだ。(※5)
ペニーローファーは1950年代から60年代にかけて、アイビーリーグの学生たちの間でも広く履かれるようになった。ブレザーやチノパンと合わせるアメリカの学生定番のスタイルと結びつき、ペニーローファーは定番のデザインとして定着していったんだよ。ペニーローファーにハーフパンツを合わせる、リラックスしたスタイリングの写真も残されているね。(※6)」

村吉 「こうして振り返ると、ノルウェー、イギリス、アメリカなどそれぞれ異なる背景を持つブランドが、現在のローファーの歴史を形作ってきたことが分かりますね。
今回はヨーロッパからアメリカへとローファーの歴史をたどってきましたが、紐を使わずに履くスリッポン型の靴という視点で見ると、もっと古い歴史があるんですよね。」

白濵 「本当の起源という意味でスリッポンを掘り下げようとするともっと壮大な歴史があるんだよね。例えば中国などでは、数千年前からチャイニーズシューズと呼ばれるスリッポン型の靴が作られていたんだ。」

村吉 「こうした靴の存在を考えると、紐を使わずに履くという形状そのものは、特定の地域だけで生まれたものではないことが分かりますね。」

白濵 「その通りだね。スリッポン型の靴は、世界各地でそれぞれの文化や生活に合わせて生まれてきた形状なんだ。特定のブランドだけが生み出したというより、似た形状の靴が各地で独自に作られてきた背景がある。だからスリッポンの起源を、どこで誰が最初に開発したのかという一点に絞って断定するのは難しいと思うよ。」

村吉 「一つの国で完成したデザインではなく、世界各地の靴文化の中で、それぞれに生まれ、発展してきた形なんですね。」




【ローファーのデザインについて】

ローファーには、甲の装飾やモカの形状、アッパーのパターンなどによってさまざまなデザインがあります。代表的なものとして、ペニーローファー・タッセルローファー・ビットローファーなどが挙げられます。
また、装飾の有無だけでなく、ヴァンプの長さや甲のカットライン、モカの縫製方法などによっても印象は大きく変わります。
紐靴とは異なり、足の甲を締め付けて調整することができないため、ラストの形状や甲の高さ、履き口の設計、足を包み込むフィッティングが特に重要になるデザインでもあります。
以下では、当アトリエで製作したビスポークシューズの作例写真とともに、代表的なローファーやスリッポンのデザインをご紹介いたします。




【ローファーの種類】

■Penny Loafer(ペニーローファー)

Bespoke Penny Loafer in Dark Brown LeatherBespoke Penny Loafer in Dark Brown Leather
A contemporary almond toe loafer last with a defined side wall
Hand-sewn welted construction with all-brown leather sole

甲の部分にベルトを配したデザインです。
ベルト中央に設けられた切れ込みが特徴で、この部分に1セント硬貨を挟む習慣があったことから、ペニーローファーと呼ばれるようになったとされています。ローファーの中でも特に定番的なデザインで、クラシックなスタイルから現代的な装いまで幅広く取り入れられています。

Bespoke Penny Loafers in Black Calf Leather TANNERIES DU PUY CHATEAUBRIANDBespoke Penny Loafers in Black Calf Leather “TANNERIES DU PUY CHATEAUBRIAND”
A rounded loafer last with an oval toe shape
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

Bespoke Unlined Penny Loafers in Black Utah CalfBespoke Unlined Penny Loafers in Black Utah Calf
A rounded loafer last with a defined side wall
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

Bespoke Penny Loafers in Black Calf Leather TANNERIES DU PUY CHATEAUBRIANDBespoke Penny Loafers in Black Calf Leather “TANNERIES DU PUY CHATEAUBRIAND”
A rounded loafer last with an oval toe shape
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole




■Tassel Loafer(タッセルローファー)

Bespoke Hand-Stitched Tassel Loafers in Black Calf Leather TANNERIES DU PUY CHATEAUBRIANDBespoke Hand-Stitched Tassel Loafers in Black Calf Leather “TANNERIES DU PUY CHATEAUBRIAND”
A slim and refined almond toe last
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

甲の部分にタッセル(房飾り)を配したデザインです。
タッセルの大きさや形状、紐の素材や編込み、トップラインのカットラインなどによって表情が変わり、ペニーローファーとはまた異なる華やかさがあります。
ジャケットスタイルやよりカジュアルなスタイリングまで幅広く合わせられるデザインです。




■Bit Loafer(ビットローファー)

Bespoke Hand-Stitched Bit Loafers in Dark Brown Kudu LeatherBespoke Hand-Stitched Bit Loafers in Dark Brown Kudu Leather
A rounded loafer last with an oval toe shape
Original brass bit
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

甲の上に金属の装飾を配したデザインです。
金属装飾がアクセントとなり、ローファーの中でもエレガントな印象を持つデザインです。ビットの素材や形状により、印象がクラシックに見えたり華やかに見えたりするデザインでもあります。




番外編・スリッポン

■Plain-toe Slip-on(プレーントゥスリッポン)

Bespoke Plain-toe Slip-on in Dark Brown Suede LeatherBespoke Plain-toe Slip-on in Dark Brown Suede Leather
A softened chisel toe last with raised side-wall
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

甲やつま先に切り替えや装飾を設けず、シンプルに仕上げたスリッポンタイプのデザインです。ペニーローファーやタッセルローファーのような装飾がない分、アッパーの革の質感やフォルム、ラストのシルエットがデザイン全体の印象を左右します。
無駄を削ぎ落としたミニマルな表情が特徴で、素材や木型の美しさを引き立てるデザインです。




■Saddle Slip-on(サドルスリッポン)

Bespoke Saddle Slip-on in Dark Brown Llama Leather and Dark Brown Crocodile LeatherBespoke Saddle Slip-on in Dark Brown Llama Leather and Dark Brown Crocodile Leather
A softened chisel toe last with raised side-wall
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

ローファーのようにベルト(サドル)が付いたスリッポンです。モカが無いため、Yuki Shirahama Bottier ではローファーではなくスリッポンと分類しています。
掲載した作例では全体にリャマ、ベルトにクロコダイルの斑の細かい部分を用いることにより素材の面白さを引き立てています。




■Elastic Slip-on(エラスティックスリッポン)

Bespoke Brogue Elastic Slip-On in Dark Brown Calf Leather with patina TANNERIE D’ANNONAY VEGANOBespoke Brogue Elastic Slip-On in Dark Brown Calf Leather with patina “TANNERIE D’ANNONAY VEGANO”
A slim and refined almond toe last
Hand-sewn welted construction with all-brown leather sole

タンの裏側の、甲センター部分にエラスティックを施したスリッポンです。
ローファーと比べると少し履き口が狭いですがエラスティックがあるため着脱しやすく、また履き口が小さいためやや落ち着いた印象になり、綺麗めな装いにも適したデザインです。




■Wingtip Tassel Slip-on(ウィングチップタッセルスリッポン)

Bespoke Wingtip Tassel Slip-On in Dark Brown Bison LeatherBespoke Wingtip Tassel Slip-On in Dark Brown Bison Leather
A slim and refined almond toe last
Hand-sewn welted construction with all-brown leather sole

トゥの部分にイミテーションまたは切り替えのウィングチップを施したスリッポンです。
今回は2種類ともイミテーションのウィングチップの作例を掲載しましたが、ベルト(サドル)ありとベルト無しでまた異なる雰囲気を楽しむことができます。
上のロングベルトありの作例は履き口が広くクラシックな印象に仕上げています。ベルト無しの作例はベルトが無い分削ぎ落とした美しさがあります。
また、イミテーションのウィングチップはステッチとブローギング(穴飾り)のみでウィングチップを表現しているので、上品な印象になります。

Bespoke Wingtip Tassel Slip-On in Black Suede LeatherBespoke Wingtip Tassel Slip-On in Black Suede Leather
A slim and refined almond toe last
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole




■Opera Slipper(オペラ・スリッパー)

Bespoke Opera Slipper in Black Shrink LeatherBespoke Opera Slipper in Black Shrink Leather
A rounded loafer last with an oval toe shape
Hand-sewn welted construction with all-black leather sole

元は1950年頃、オペラパンプスと同様にディナータイムの装いに使われた室内ばき用の靴でしたが、現在では外履き用に使われています。
現在ではスポックシューズまたはドクターシューズと呼ばれることもあるデザインです。




【装いにおけるローファー】

ローファーは、もともと室内履きやカジュアルな靴としての背景を持ちながら、現在ではビジネスやドレススタイルにも取り入れられるようになりました。ペニーローファーのようなトラディショナルなデザインから、タッセルローファーやビットローファーのようなデザインまで、装飾や素材、ラストの形状によって幅広い表情を持っています。

村吉 「ローファーの魅力のひとつは、合わせられるスタイルの幅がとても広いことですよね。スーツスタイルはもちろん、カジュアルな装いや古着、デニム、ハーフパンツなど、さまざまなコーディネートに取り入れられますね。」

白濵 「そうだね。ローファーは、合わせる服装や素材によって印象が大きく変わる靴だと思う。ドレスシューズのようにきちんとした装いにも合うし、カジュアルなスタイルに合わせれば、程よく足元を引き締めてくれる。革の種類や色、質感でも遊べるので、現代のファッションには欠かせない存在だと思うよ。」

村吉 「ローファーというと、春夏の軽やかな装いに合わせるイメージを持たれる方も多いと思いますが、実際には一年を通して履ける靴ですよね。」

白濵 「確かに、ローファー自体に特定の季節というものはないと思うよ。大切なのは靴単体で季節を決めるのではなく、洋服との組み合わせで全体のバランスを見ることだね。」

村吉 「例えば、毛足の長い黒のスエードは、夏のコーディネートには少し重たい印象になると考えられる方にはどのような提案をされますか?」

白濵 「毛足の長い黒スエードは夏には少し重たい印象に取られることもあるね。ただ、必ずしも夏に適さないというわけではないよ。デザインや着用するシーンによっては夏にも取り入れられる。例えば、履き口を広くして肌の見える部分を増やすことで季節感のある爽やかな印象になるからね。」

村吉 「確かにデザインラインや仕様によってイメージが大きく変わりますよね。ビーディングの艶感や尾錠など細かな仕様を変えるだけでも雰囲気が変化するなと感じます。
また、夏の黒いスエードとは対照的に、冬に明るい色の靴を合わせる時も、洋服の色味や素材感でバランスが取れますよね。」

白濵 「うん、例えばパンツが明るい色であれば、冬でもベージュやライトブラウンなどの淡い色の靴が自然に馴染むよね。季節だけで靴の色を決める必要は全くなくて、素材感など服全体のまとまりを見ながら選ぶといいと思う。
それと村吉が言うように、細かな仕様やラスト形状も雰囲気をガラリと変える要因になるね。例えば、クラシックなペニーローファーでも、ラストをシャープにすればドレッシーな印象になるし、丸みのあるラストや厚めのソールを採用すればカジュアルな雰囲気にもできる。」

村吉 「そうですね、ビスポークではお客様のイメージに合わせて仕様やラインの調整もできますし、スリッポン自体の歴史から考えても、難しく考えずに是非自由なコーディネートに取り入れて頂きたいですよね。」

白濵 「その通りだよね。とても守備範囲の広い靴だからね。
そういえば、これは本で見かけてとても印象的に感じたコーディネートなんだけど、1935年頃、写真家のセシル・ビートンが南フランスの舞踏会に参加した時の写真があるんだよね。
黒エナメルのオペラパンプスに白いスーツと白Tシャツと白ソックスを合わせた着こなしで、これはワザと定番のドレスコードから逸脱したコーディネートとして紹介されていたんだけど、その写真を見てとても自由な精神を感じたんだよね。靴は晩餐会用のオペラパンプスでしっかりTPOを押さえながら、洋服で意外性をもたせているよね。セシル・ビートンの人物像やその舞踏会の雰囲気があるからこその例外的なコーディネートかもしれないけど。(※7)」

Yuki Shirahama Bottier 所蔵 アンティークオペラパンプス(年代不詳)Yuki Shirahama Bottier 所蔵 アンティークオペラパンプス(年代不詳)

村吉 「セシルは靴だけはTPOを押さえることで、意外な着こなしを上手くまとめていて本当にお洒落な方ですね!どんなに洋服に外しを加えても、靴だけは夜のフォーマルのドレスコードを守るという押さえがポイントなのかもしれないですね。
TPOの話でいうと、現代ではドレスコードはある程度緩くなっていますが、やはり考慮するのであれば礼服にペニーローファーやタッセルローファーを合わせるのはちょっとタブーなんでしょうか?」

白濵 「現代でも冠婚葬祭でも厳格なTPOが必要とされる場合には使い分けが必要かなとは思うよ。冠婚葬祭では黒のオックスフォードを履いていくのが無難かもしれない。」

村吉 「ところで歴史のパートでも触れましたが、ローファーは長い歴史の中で各ブランドから長年愛される銘靴が幾つも発表されていますよね。完成されたラストシェイプや美しいデザインが世界中の方から愛されているイメージです。
それらの靴のフィッティングが足に合う方は問題ないと思いますが、中には履き心地について悩みを抱えている方もいらっしゃいますよね。特にローファーは紐でフィット感を調整できないので、既製靴では足に合うものを見つけるのが難しいですよね。」

白濵 「それはよくご相談頂く内容だね。例えば、扁平足や外反母趾で靴選びに苦労されている方や、甲が高い方、反対に甲が低くて靴の中で足が動いてしまう方など、足の悩みは人それぞれだから、既製靴ではどうしても対応しきれない部分があるんだ。」

村吉 「足の悩みがあるお客様には是非ビスポークという選択肢を知っていただきたいですね。」

白濵 「もちろん、ビスポークだからといって100%足に合うと断言できるわけではないけれど、その人の足に合わせて木型を調整できるので、既製靴よりもフィット感を高められる可能性は大きい。特にローファーの場合、履き口が開いてしまい、上から見たときにパカパカと笑ったような状態になることがあったり、歩くたびに空気が抜けるような音が鳴ってしまうことがあるんだけど、木型を調整することで、そういった問題も極力抑えることができるんだ。」

村吉 「ただ、ご購入頂くお客様にご理解頂きたいのはローファーはデザインの特性上、踵と甲の浅い部分でしか押さえられないため、足が前に進みやすく、甲の圧迫感を感じやすい形だということですね。」

白濵 「それは重要な部分だね。既製靴と比較すると大きく軽減することは出来るとは思うけど、ビスポークだとしても痛みを完全になくすことは出来ないデザインなんだよね。
紐が無い分、履き込んで底に返りがついてくるまではどうしても踵が抜けやすいというところもある。それでも底の返りの付きやすさについても、グッドイヤー製法と比べるとハンドソーンウェルテッド製法は優れていると思う。」

村吉 「人の足はむくみ加減など、日々コンディションが変わりますし、お客様ご自身に合わせた木型のローファーを、更に足に馴染むまでじっくり育てて頂けると嬉しいですね。」

白濵 「ローファーはデザインの自由度も高くファッションを楽しむうえでも魅力的な靴だからこそ、履き心地の部分で諦めてしまうのは勿体ないと思うから、今までローファーが足に合わないと思っていた方にも、ぜひ一度ビスポークを検討して頂きたいと思うよ。」

村吉 「歴史的にもさまざまな国の文化が重なり合って発展してきたデザインのローファーを、決まったスタイルにとらわれずリラックスして楽しんで頂けたら嬉しいですね。」




【最後に】

今回は靴デザイン解説コラムの第3弾として、ローファーについてご紹介いたしました。
ローファーは、もともと気軽に履ける靴として発展してきた一方で、現在ではドレスシューズとしても幅広く愛されています。
デザインや素材、ラストの組み合わせによって多彩な表情を楽しめるローファーは、紐靴とは異なる構造のためフィッティングの難しさがありますが、だからこそ是非オーダーシューズを検討して頂きたい靴です。
今後も靴のデザインについて解説していく予定です。解説コラムのリクエストや、今後コラムで紹介してほしい内容がありましたら、ぜひホームページのお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
また、今回掲載した以外の製作事例はYuki Shirahama Bottier InstagramまたはGalleryでご覧いただけます。


執筆
Yuki Shirahama Bottier
白濵 結城
村吉 麻美




[参考資料・出典]
※1 オーランド公式ホームページ https://www.aurlands.com/en/blogs/nyheter/den-tidlose-aurlandskoen-the-original-pennyloafer
※2 ワイルドスミス公式ホームページ https://www.wildsmith.com/pages/about-us
※3『DRESSING THE MAN MASTERING THE ART OF PERMANENT FASHION』ALAN FLUSSER著 203頁
※4『Esquire‘s ENCYCLOPEDIA 20 CENTURY MEN’S FASHIONS』O. E. SCHOEFFLER AND WILLIAM GALE著 593頁
 G.H.BASS 公式ホームページ https://www.ghbass-eu.com/pages/history
※5『GENTLEMAN A Timeless Guide to Fashion』Bernhard Roefzel著
※6『TAKE IVY』Photo by T.HAYASHIDA 122頁など
※7『DRESSING THE MAN MASTERING THE ART OF PERMANENT FASHION』ALAN FLUSSER著 207頁