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記事: BESPOKE ORDER EVENT ストラスブルゴ 東京ミッドタウン店・銀座店

REPORT

BESPOKE ORDER EVENT ストラスブルゴ 東京ミッドタウン店・銀座店

Monochrome photograph of various bespoke leather shoes on display at a trunk show, featuring the text

2026年3月27日(金)〜29日(日)、ストラスブルゴ東京ミッドタウン店および銀座店にて、ビスポークシューズオーダー受注会を開催致しました。ストラスブルゴでのオーダー受注会は2014年より開始し、これまで多数の靴をご納品させて頂いています。





ストラスブルゴ各店には、洋服に対する知識と経験を豊富に持つスタッフが多数在籍されており、お客様の装いを踏まえたご提案が可能な点が特長です。私達ビスポークシューズメーカーと店舗スタッフ、そしてお客様の三者でイメージを共有しながら進めています。


1.	Bespoke shoe samples and leather swatches by Yuki Shirahama Bottier on display, with Strasbourg Ginza store fixtures and menswear in the background


今回は複数名のお客様へお仕立てした靴をお渡しさせて頂きました。いずれの一足も、それぞれ異なる個性を持った仕上がりとなりました。こうした仕上がりは、お客様との打ち合わせを重ねる中でのご要望に加え、店舗スタッフによる装いの理解と提案が反映された結果でもあります。

また、製作にあたっては複数回の仮縫いを実施し、綿密にフィッティング調整を重ねてきました。その積み重ねにより、いずれの靴もご満足頂ける履き心地に仕上がりました。




クロコダイル サイドエラスティック ホールカット

Bespoke shoes by Yuki Shirahama Bottier. Navy crocodile leather wholecut side-elastic shoes, hand-sewn welted, leather sole


1足目はクロコダイルを用いたホールカット仕様のサイドエラスティックシューズ。素材にはネイビーのクロコダイルを用い、元の色より暗く落ち着いた仕上げを施すことで深みのあるカラーに調整しています。一枚革で構成されたアッパーのため、縫製は踵の縫い割りとエラスティック部分に限られ、爪先から甲まで切り替えしがない分、斑(ふ)の表情がより一層綺麗に際立つ構造となっています。

紐を用いない仕様により着脱がしやすいデザインです。お客様のフィッティングのお好みとして、ストレスのない着用感をご要望でしたので、そこを踏まえ立った状態で過度なシワが出ない程度のフィット感に調整しました。ラスト形状は側面の立ち上がりがはっきりした、現代的なアーモンドトゥに仕上げました。

一般的にクロコダイルは硬い印象を持たれがちですが、実際には多くのボックスカーフよりも柔らかく、斑の溝に伸縮性があるため足の動きに応じて自然に伸び縮みする特性があります。また、クロコダイルはおよそ1.2~1.4mm前後の厚みを持つため素材自体で一定の保形性を備えています。同じ爬虫類でもリザードは0.7〜0.8mm程度と薄く、裏貼りを前提とする構造となるため伸びの方向が制限されますが、クロコダイルは素材そのものの構造により柔軟に足に馴染む点が特徴です。

クロコダイルのメンテナンスについては、タンナーへの確認のもと、当アトリエでは一般的な乳化性の靴クリーム、爬虫類専用クリームのいずれも使用しています。ご自宅でのケアにおいても同様にお使い頂くことが可能です。つま先や踵など芯材の入る部分にはワックスを用いた仕上げも可能で、光沢の調整を行うことができます。ただし、屈曲部へのワックス使用はひび割れの原因となるため、クリームによるケアを基本とし、仕上げの方法には注意が必要です。

底付けはハンドソーンウェルテッド製法、ストレートヒール、内側のみベヴェルドウエストとした当アトリエの定番仕様で仕立てています。これまでにも何足もご注文頂いているお客様ですが、やはり何度作ってもクロコダイルのご納品には緊張感があります。そういった緊張感をモチベーションにしつつ、製作に取り組んいます。




クードゥー 5アイレット ダービー

Bespoke shoes by Yuki Shirahama Bottier. 5-eyelet derby in kudu leather, hand-sewn welted, leather sole


2足目は5アイレットのダービーシューズです。木型はやや柔らかく仕上げたセミスクエアのトゥシェイプで、様々なシーンの装いにも取り入れやすい一足に仕立てました。素材にはダークブラウンのクードゥーを使用しており、ジャケットスタイルはもちろん、よりカジュアルな装いにも自然に馴染む仕上がりとなっています。

クードゥーは野生由来の革であるため、銀面には生来の細かな傷や痕跡が見られますが、それらを含めた表情がこの素材の魅力です。無作為に刻まれた痕跡が、他の革にはない野趣ある質感を生み出しています。また、一般的なカーフがおよそ1.4〜1.6mm前後であるのに対し、クードゥーは2.4〜2.5mm程度の厚みを持つため、柔らかさがありながらも保形性を備えています。厚みのある素材特有のボリュームにより、足が小さめの方でも靴全体のバランスを取りやすく、装いの中での存在感も生まれます。加えて、保温性にも優れているため、冬場の着用においても快適さが感じられます。

フィッティングについても調整を重ね、ご満足頂ける履き心地に仕上がりました。




ユタカーフ アンラインド ペニーローファー

Bespoke shoes by Yuki Shirahama Bottier. Black utah calf penny loafers, unlined, hand-sewn welted, leather sole


3足目はアンラインド仕様のペニーローファー。手縫いによるモカ縫いの表情を活かし、柔らかさと軽やかさを感じられる一足に仕立てました。モカのラインを外側寄りにデザインすることにより、写真のようなカジュアルなデニムスタイルにぴったり合うデザインになりました。ラストシェイプはサイドの立ち上がりがはっきりした、丸みのあるローファーラストとして設計しました。

アッパー素材にはフランスのタンナー、Tanneries Haas(アース社)のユタカーフを使用しています。同社のオイルドカーフをベースに型押しを施した素材で、クロムと植物タンニンによるダブルタンニングにより、しなやかさと適度なコシを併せ持つ点が特徴です。型押しによる立体的な表情が加わることで、上品さとカジュアルさを兼ね備えた質感に仕上がります。

アンラインド仕様とすることで、足当たりの柔らかさと軽さを持たせつつ、爪先と踵には芯材を用いることで形状を保っています。見た目は一般的なローファーと変わらない印象を保ちながら、履き心地の軽やかさを感じて頂ける構造です。こちらの一足は東京ミッドタウン店にてご納品いたしました。長年ご愛用頂いているリピーター様で、これまでにも複数のローファーをお納めしています。これまでの履き心地やお好みを踏まえ、今回の一足をお仕立てしました。こちらの靴も底付けはハンドソーンウェルテッド製法、ストレートヒール、内側のみベヴェルドウエストとした当アトリエの定番仕様です。




オールドイングランドカーフ Vフロント ダービー

Bespoke shoes by Yuki Shirahama Bottier. 3-eyelet derby in blue Zonta Old England calf, hand-sewn welted, leather sole, toe medallion


4足目は3アイレットのVフロントダービー。ラストシェイプはモダンなチゼルトゥ、トゥにはメダリオンを施し、爪先と踵を暗めに仕上げることで陰影をつけたクラシックな靴に仕上がりました。

素材にはイタリアのタンナー、Conceria Zonta(ゾンタ社)のネイビーのカーフを使用しています。約13年前に当工房で仕入れた「オールドイングランド」と呼ばれる革で、銀面を活かしたアニリン仕上げによる光沢と表情が特徴です。特に表面の輝きはアノネイ社のボカルーにも優っており、ワックスで磨く前から靴全体が輝くような質感です。なお、当工房における13年前のデッドストックの在庫は、今回のご納品分で最後となります。

底付けはハンドソーンウェルテッド製法、ウエストはベヴェルドウエストで艶のある表情を持たせつつ、ピッチドヒールの傾斜角を敢えて余り急にしない形で仕立てています。ヒール形状に関しては、ビスポークシューズ特有の攻めたスタイルが好まれる場合も多いですが、敢えて攻め過ぎない形にすることでドレスシーン以外でも使いやすい設計となります。前足部底面にはハーフラバーとビンテージスチールを施し、グリップ力と耐久性も高めています。リピーター様で、これまでも継続してお仕立てさせて頂いており、今回もフィッティングにご満足頂けました。




ユタカーフ サイドエラスティック(イミテーションデザイン)

Bespoke shoes by Yuki Shirahama Bottier. 3-eyelet derby in blue Zonta Old England calf, hand-sewn welted, leather sole, toe medallion


最後はイミテーションデザインのサイドエラスティックの一足です。ウィングチップやカウンターの切り替えを実際には設けずステッチのみで表現していますので、爪先のフォルムが美しく見える仕上がりになります。アッパー素材はユタカーフ、ラストシェイプはモダンなチゼルトゥ、トゥにはメダリオンを施しています。

サイドエラスティックは、通常ボックスカーフで製作されることが多いデザインですが、ユタカーフのようなグレインレザーやスエード素材を用いることで、カジュアルなシーンでも使用できると考えております。こちらの靴も底付けはハンドソーンウェルテッド製法、ベヴェルドウエスト、ピッチドヒールで仕立てています。こちらも前足部底面にはハーフラバーとビンテージスチールを施しました。

完成した靴を初めてお納めする瞬間は、何度経験しても緊張するものです。仮縫いを重ね、フィッティングやデザインの確認を積み重ねてきたとしても、実際にご試着頂く瞬間には独特の緊張感がありますが、今回もそれぞれのお客様に足入れして頂いた際、フィットの良さを実感して頂くことができました。その瞬間に得られる手応えは、これまで積み重ねてきた工程が一つの形になったと感じられると同時に、さらに精度の高い一足を製作していきたいという意識にも繋がります。




仮縫い工程(透明樹脂)

Plastic trial shoes by Yuki Shirahama Bottier.


また、オーダーイベント中は複数名のお客様の仮縫い靴フィッティングを実施いたしました。その中から、透明樹脂を用いた仮縫い靴のフィッティングの一例をご紹介致します。

透明樹脂による仮縫いでは、足と靴の当たり方や圧のかかり方を視覚的に確認しながら、細かな修正を加えていきます。次回は革製の仮縫い靴へと進み、より実際の履き心地に近い状態で調整を行う予定です。


Foot measurements for bespoke shoes by Yuki Shirahama Bottier.オーダー受注会ではお客様の足形の採寸も行いました。




今後のビスポークシューズオーダー受注会予定


今回の受注会を通じて、それぞれ異なるご要望に対し、一足一足丁寧に製作を進めることができました。

今後もストラスブルゴ名古屋店(4月5日(日))、大阪店(4月18日(土))にて受注会を予定しております。詳細につきましてはホームページ内のニュースにてご案内しておりますので、ご興味のある方はご確認ください。



執筆
Yuki Shirahama Bottier
白濵 結城
村吉 麻美