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記事: ATELIER INTRODUCTION

ATELIER INTRODUCTION

A bespoke shoemaker‘s workshop. Wooden lasts hang from the walls.Having been used time and again in the creation of bespoke shoes, each one bears numerous nail marks.

2010年の開業以来、一足ずつ積み重ねてきたビスポークの歩みは、新たなアトリエへと受け継がれました。製作環境と空間の質を見直し、より精度の高い靴作りへ。静かな環境の中で、対話と手仕事から生まれる一足をご提案します。




【Chapter 1:2010年開業から現在地へ。製作環境の深化】

A bespoke shoemaker‘s workshop. An intricately designed entrance porch crafted by an ironworker.Located in a quiet area of Yamashina Ward, Kyoto Cityr



Yuki Shirahama Bottierは、2023年12月、京都市中京区から現在の山科区へと拠点を移転いたしました。

2010年の開業以来、ビスポーク職人として一足ずつ積み上げてきた製作の精度をさらに高めるため、拠点の見直しを行いました。

その背景には、製作を重ねるごとに増え続ける木型の存在があります。お一人おひとりの足に合わせて製作される木型はビスポークの根幹であり、その蓄積は私たちの歩みそのものです。一方で、その保管には相応の空間が必要となり、従来の工房では収まりきらない状況となっていました。そうした背景のもと、保管と製作の両面において適切な環境を確保するため、この場所を選択しました。移転後も木型の保管量は増え続け、2026年現在、既に棚は満たされつつあります…

アトリエを移転するにあたり、空間の広さだけでなく、製作環境としての質も重要な要素となりました。
周囲に山々を望むこの地は、遮るもののない空の広がりと、安定した自然光に恵まれています。
日中の光の下で天然皮革の色味を正確に捉え、微細な手作業を継続することは、一足の完成度を左右する不可欠な要素と考えました。

また、京都・大阪の中心部からもアクセスしやすい立地にありながら、落ち着いた環境の中で製作に向き合うことができる点も、この場所を選んだ理由の一つです。




【Chapter 2:1F Atelier ― 鉄職人の意匠と、二人の職人の手仕事】

新工房は、かつて鉄職人が活動していた場所です。階段や巾木、照明器具に残る実直な鉄の意匠は、私たちの靴製作に通じるものがあります。ご来店の際にはアトリエ内の随所に残る鉄職人の造形をご覧頂ければと思っております。

1階を製作スペース、2階をサロンスペースとし、それぞれの役割を明確に分けています。

製作スペースでは、代表の白濱と職人の村吉が実作業にあたっています。


A bespoke shoemaker‘s workshop. Wooden lasts hang from the walls.Having been used time and again in the creation of bespoke shoes, each one bears numerous nail marks.棚に並ぶ木型は、一度使って終わりではありません。同じお客様から繰り返しご注文をいただき、何度も底付けを繰り返しています。そのたびに木型の底面には釘の跡が刻まれていきます。


底付け室の壁面をぐるりと取り囲むように設けられた木型棚には、これまで製作してきた膨大なラストが保管されています。2010年の開業以来、一人ひとりのお客様と向き合い続けてきた軌跡であり、私たちの経験の蓄積そのものです。

アトリエ内には、これまでお仕立てしてきたすべてのお客様の採寸データと製作記録も保管しています。外反母趾や扁平足など、お客様固有の足のお悩みに対しても、蓄積されたデータと経験をもとに、適切な数値で製作を行います。


A bespoke shoemaker‘s workshop. Tools hang from the walls. Various types of edge irons, wheels and other items are lined up.


底付け机の周囲の壁面には、各工程で使用する数々の工具が整然と並びます。選び抜かれた道具は、単なる器具ではなく、長年の経験と感覚を支える“手の延長”です。
Altan Bottier(アルタンボティエ)での修行時代に故Şükrü Sensözlü(シュクル・センソズル)氏らから古い道具を受け継ぎ、また古道具市で探し集めたものに日々整備を重ね、大切に使い続けています。

また、革の保管のために、新工房では革ストック専用の部屋を設けました。長年にわたり世界各地から集めた素材を、適切な湿度環境で管理しています。当アトリエにお越しいただいたお客様には、これらの革を裁断前の大判の状態で実際にご覧いただくことが可能です。

製作スペースは決して広くはありませんが、動線を緻密に設計することで、すべての工程を無駄なく連続させています。その積み重ねをもとに、一足一足の完成度を高めるため、日々製作に取り組んでいます。




【Chapter 3:2F Salon ― 対話から生まれるビスポークと、AGOL】

The bespoke shoemaker‘s workshop features a salon area on the second floor. Here, customers can have their feet measured, try on sample shoes and discuss designs. The room is bathed in natural light and displays a wide range of sample shoes.



2階はお客様と対話や採寸、ご試着・仮縫いなどを行うための専用サロンです。 完全予約制という形態をとっているのは、私達職人が直接お客様のご要望を伺い、理想とする靴のイメージを正確に共有するためです。


Leather samples on display in the salon area on the second floor of the Bespoke shoemaker‘s workshop. Visitors can handle and examine rare leathers collected from around the world. The collection includes calfskin, suede, patina leather and exotic leathers.The tanneries we work with include TANNERIE D’ANNONAY and TANNERIES DU PUY.

Leather samples on display in the salon area on the second floor of the Bespoke shoemaker‘s workshop. Visitors can handle and examine rare leathers collected from around the world. The collection includes calfskin, suede, patina leather and exotic leathers.The tanneries we work with include TANNERIE D’ANNONAY and TANNERIES DU PUY.



窓から入る光を遮らない空間で、世界中から厳選したレザーサンプルを手に取りながら、デザインや仕様を検討して頂けます。
また、サロンでは、当工房の新ライン「AGOL(アゴール)」の製品も実際にご覧いただけます。
AGOLは、2010年からの15年におよぶビスポーク製作の経験やスポーツシューズメーカーでの経験をもとに、現代のスタイルに適した形として再構築したラインです。
ご試着も可能ですので、履き心地を確認しながらお選びいただけます。


AGOL is a new footwear brand launched by a master shoemaker. うDrawing on his experience in bespoke shoemaking, he has created a range of modern trainers. The current collection includes Derby shoes, chukka boots and slip-ons.




【Chapter 4:Access ― 地下鉄椥辻駅と専用駐車場】

The workshop of a bespoke shoemaker. A view of the interior from the car park. The glass-fronted entrance, the staircase crafted by a metalworker, and the workshop‘s logo are all visible.



新しいアトリエは、京都市営地下鉄東西線「椥辻駅」から徒歩10分圏内に位置しています。京都中心部(京都市役所前・烏丸御池等)からも地下鉄でダイレクトにアクセスが可能です。

また、お車でお越しのお客さまのために、敷地内に1台分の専用駐車場を完備いたしました。公共交通機関、あるいは自家用車。どちらの手段でも、日常から一歩踏み出し、靴作りの現場を直接ご確認いただける環境を整えています。

2010年の開業から15年。拠点を移し、ホームページを刷新した今、私たちの靴作りは次のステージへ向かいます。一足の靴がお客さまの歩みを支える実用的なパートナーとなるよう、この場所から、誠実に工程を積み重ねてお届けいたします。

作業工程をより詳しくご覧になりたい方は、「Craftsmanship」を是非ご高覧くださいませ。


執筆
白濱・村吉